金融マンのコラム
暗証番号
とある忙しい日のことです。
20代の男性サラリーマンの方が来店され、全額返済したいとおっしゃいました。
対応した社員は、そのお客様の金利を含めた金額を確認し、お伝えしたところ、
急にお客様が不審な表情を浮かべました。
そして、少し怒り気味に「僕はこんなに借りていませんよ!何かの間違いじゃ
ないんですか!?」とおっしゃいました。
こちらとしても、お客様がお持ちになったキャッシングカードのデータから
情報を確認し、間違いありません。
お客様の残高は利用限度額一杯まで使われており、金利を含めて61万円ほどでした。
「僕は30万くらいしかキャッシングしていないのに、おかしいでしょ?!」
確かに使った額の倍額を請求されたら、誰でもびっくりするのは当然です。
お客様の今までの取引の履歴を確認したところ、お客様自身が身に覚えの無い取引が
1つあることがわかりました。
その取引は数日前にATMで30万円を利用しているというものでした。
過去にお客様はカードを1度も紛失しておらず、カードを拾った第三者がカードを
勝手に使って引き出したとは考えにくい状況です。
お客様に「どなたかにカードの暗証番号をお教えになりましたか?」とお伺いしたところ、「いや、そんなことはありません」とおっしゃいました。
もうこうなったら、ATMに設置してある防犯ビデオの映像をを確認するしか
ありません。
お客様を応接室にお連れして、取引日の防犯ビデオをお客様と一緒に確認したところ、
お客様のカードを使って若い女性がおカネを引き出している映像が写っていました。
そして、急にお客様の表情がこわばりました。
「これ、アイツじゃん。。。」ぼそっとお客様がつぶやきました。
そうです。それはなんと同棲していた彼女だったのです。
よくよく事情を伺うと、忙しい時などに彼女にカードを渡して返済や利用を依頼して
おり、暗証番号も教えていたとのこと。
先日ケンカしてしまい、彼女が部屋を出て行って、それ以来連絡がとれない状態に
なっているそうです。
でも出ていった彼女なのに、どうしてカードはきちんと彼の財布に戻されていたの
でしょうか?
彼は財布を忘れないように、いつも玄関の下駄箱の上に財布を置いており、
彼女がすぐに発覚するのを避けるために、カードを戻しに一旦彼の家に戻ったようです。
お客様はその日は全額返済することができず、うなだれて帰って行かれました。
このケースでは、お客様の過失なので、たとえお客様自身が利用していなくても
全額お客様の借金になってしまいます。
こちらとしても、お客様に同情はしますが、彼女を探し出して、彼女に返済してもらう
わけにもいきません。
こういったケースはまれですが、たとえ家族や彼女といえども、第三者にカードの
暗証番号は教えないほうが賢明です。
というよりも教えてはいけません。
自分の身は自分でしか守れませんからね。
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